2014年6月18日水曜日

青い風景画



2012年の四月に千年一日珈琲焙煎所で行われたBOOK WARMというイベントで出会った宗田佑介さんの個展を見に、辻堂のLAMA coffeeへ行ってきた。

そのイベントで宗田さんは歌をうたい、帰り際にスケッチブックを見せてくれた。彼のスモーキーな歌声も、さらさら描かれたスケッチも印象に残った。twitterにアップしている絵も、好きだと感じた。そんな出会いもあって、宗田さんは気になるひとのひとりだったので、今回の展示はぜひとも行ってみたかったのだ。

展示では、神奈川から岡山に引っ越したあとの青一色で描かれた風景画があり、このシリーズがとても好きだった。僕の知らない岡山や瀬戸内の風景。そこに描かれた風景がきれい、という理由だけで好きだと感じたのではない。

風景画は、風景を画家のまなざしを通して描かれる。揺れ動く景色を描く風景画は、写真とは違い、一瞬を切り取る必要はない。紙の上で、それぞれの景色の時間や季節が流れ出す。なんてことない風景を、青い絵の具だけを使い、おおらかに描いた宗田さんのまなざしに共感し、好きだと感じたのだろう。

僕は中学、高校と風景画を描いていた。仮定の世界はありえないけど、もし今も風景画を描いていたら、こんな絵を描いていたかったと強く思った。そんなあこがれも含め、宗田さんのまなざしにふれることができた良い展覧会だった。

2014年6月14日土曜日

雨乞いの仮面




『雨乞いの仮面展』

“雨を乞う仮面”というテーマで、こんな物を見せてくれるんだ!と興奮した。

素材と素材を結びつけるスルドイ一針、ストーリーを上から下まで運ぶ絵筆。信仰なんてあるもんか、と思わせる現代に説得力と存在感を持って生み出された「雨よ降っておくれ!」8つの仮面。作り手のアプローチは、表面的な装飾にとどまらない。仮面をつけ、雨を乞い踊り、その結果雨が降り歓喜する。または、土砂降りの雨、災害…自然の力に恐れおののく。そんな場面まで想像させる。人間は、想像し表現する。その面白さをこの展示に見た。

行くことは出来なかったが、関連イベント「イメージの造型、アートへの扉」「ホピ族の雨乞い仮面舞踏〜仮面儀礼のいま〜」という二つのレクチャーも非常に気になった。7月12日には、仮面をつけてのパフォーマンスがある。企画が、展示が立体的に動き出しそう。『雨乞いの仮面展』は、荻窪の6次元にて明日6月15日までの開催。



2014年6月11日水曜日

山口洋佑個展「かつてのはなし」


「かつてのはなし」
“there were times you were here”

画家・デザイナーとして活動する山口洋佑さんの個展を、PEOPLEと千年一日珈琲焙煎所の2会場で開催します。

CDジャケットや雑誌の挿絵、テキスタイルのパターンなどで絵を見る機会も多い山口さん。PEOPLEでは作品集『またどこかの惑星で』も取り扱わせていただきました。

今まで見たことのある山口さんの絵は、エキゾチックでロマンチック。音や匂いや温度や湿度を感じます。目で触れ、その世界にどっぷり入り込む。今回の個展では、どんな質感の物語を見せてくれるのでしょうか。楽しみです。

※※※

会期:2014.6.24(火)〜7.6(日)

会場:
11:00〜19:00(平日)
11:00〜18:00(日)
火・水曜定休(※会期中は無休)
TEL 029-875-5092

15:00〜22:00(火〜土)
11:00〜18:00(日)
月曜定休(※会期中は無休)
TEL 080-6525-4350(植田)

茨城県つくば市天久保3-21-3 星谷ビル一階



2014年4月9日水曜日

画賊!


“あるようで、ない。ないようで、ある。すべてがほら吹き、根無し草。けれどもいつかウソが本当に。これらのうちのいくつかが、そ知らぬ顔であなたの地元のお祭りをにぎやかすようなことにはならないかしらん。”(本文より

『画賊の日本みやげ(画賊vol.4 OMIYAGE DREAM)』/画賊

画家や張り子職人などから構成される芸術集団「画賊」。
賊長、玉野大介を中心に芸術同人誌『画賊』の発刊と永続的刊行目的に集まった13人のメンバー。

そんな彼らが本の行商の中で出会い、作り始めた“土産”たち。
ここにしか載っていない摩訶不思議、珍品奇品の数々がボリュームたっぷり紹介されております!カラーブックスへの愛を感じる表紙にも注目!

「偽石」や「枯山水ゲーム」、「大ミミズ座像」に「ソニー煎餅」、「日系お面 シティーガール」などなど。展示風景の写真やコラムなど、図版以外も大充実。


僕も最近なにかと興味がある「置物」や「郷土玩具」。
「美術」や「彫刻」という言葉が浸透する以前より民衆の生活の中にあった造形物。
一番最初に作った人に思いを馳せる。

農閑期、時間があったから作ったのか。材料がそこらじゅうにあったから作ったのか。売れるから作ったのか。信仰のために作ったのか。

調べると度肝を抜くような造形やモチーフのものが沢山ありました。
確かに、カワイイし、ユルいし、オモシロイんだけど、、、
そういうのをひっくるめた美しさ、圧倒的に健康な美しさがあるんだと思います。
興味はまだまだ尽きません。

そんな中、若い人で置物や玩具制作をしている人はいないのかなぁなんて思っていたところ出会ったのが、画賊のメンバーでもある張り子職人、前田ビバリーさん。一度は廃絶してしまった地元長崎の「鯨の潮吹き」の張り子を復元製作した方です。

「鯨の潮吹き」のように使命感を持って作られたものから、冒頭で引用した“ほら吹き、根無し草”のようなものまで。作られてしまった以上、ホンモノとして存在しちゃうのが面白い。ホントに、そ知らぬ顔で地元のお祭りをにぎやかすような楽しい未来を期待します。それでは、ドウゾよろしく!

※展示や個人の作家活動など、今後の動向が気になる画賊のHPはコチラ




2014年1月22日水曜日

「しらこがえり」の話を聞こう




屋久島の白川山(しらこやま)集落で去年の夏の2ヶ月間、山の竹や木を使って“巣”を作り、火を焚き、川で遊び、山を走り、呑み語らい暮らした「しらこがえり」プロジェクト。白川山が故郷で「しらこがえり」を企てた手塚太加丸の話を聞き、記録映像を観る機会を設けました。手の届く範囲のことから考え、体験し、見えてきたこと、そんな話を聞きたいと思います。


「しらこがえり」の話を聞こう

話し手:手塚太加丸
 1990年、屋久島白川山生まれ。15歳まで白川山で暮らす。2013年、沖縄県立芸術 大学を 卒業後、夏に「しらこがえり」する。

聞き手:中村友貴(PEOPLE)
 話し手のタカマルとは、高校時代に鹿児島市で知り合う。

日時:2月2日(日)18時30分〜
会場:千年一日珈琲焙煎所(http://1001coffee.jugem.jp/
参加費:500円 
※屋久島の焼酎「三岳」と屋久島のちょっとした料理を振る舞います。
問い合わせ:c5yuuki@gmail.com
「しらこがえり」プロジェクト:https://www.facebook.com/Shirakogaeri?notif_t=page_name_change

※※※

僕はいまだに「しらこがえり」がなんなのかかよく分からない。ただ、屋久島で過ごした約24時間は、そりゃあもう衝撃的だった。なんのプランも立てず、タカマルの予定もたいして聞かず、ただ「行くよ」と言って向かった小学生のときぶりの屋久島。到着するとタカマルの兄夫婦が迎えに来てくれていて、山の奥地に位置する彼の実家のある白川山集落へ。なんかとんでもないとこにやって来てしまったという不安でビビりながら久しぶりのタカマルに会う。集落の集会所のような建物の隣で竹と木を編んで、小屋のような庵のような巣のようなものを作っていて、それが彼の夏の帰省の目的らしい。そして、僕が屋久島に行ったまさにその日は、白川山に住んでいた詩人の山尾三省さんの十三回忌だった。社会を離れ、屋久島に暮らした詩人を偲んで島の内外から様々な人が集会所に集っていた。そんな状況にたまたま居合わせた僕やタカマルの制作を手伝いにきた若者たちもいて、懇親会に参加した。焼酎で酔っぱらいながら集会所で初めて読んだ三省さんの詩は、静かに激しく心を揺さぶった。泣きそうなのをこらえるために外に出ると、タカマルの作っている“巣”は真ん中に火が焚かれ、それを囲うように人が集まりギターを鳴らし歌を唄っていた。そのあとはよく覚えてないけど、三省さんの写真の前で目を覚ました。集会所で寝ていたらしい。短い滞在時間の三分の一は飲んでいたみたいで、結局「しらこがえり」がなんなのかよくわからなかったけど、いろんな人がいて、“巣”を作っていて、山尾三省がいて、焼酎を飲んだ。これが僕が訪れた「しらこがえり」の印象だ。去年の夏の「しらこがえり」を終えたタカマルがフェイスブックで「ただ一つ自分のことで分かったことは、自分の手足の動かせる範囲が頭で思っていたよりも全然小さいってこと、一人じゃ何もしないってこと」と感想を書いていた。その正直な感想が出たことと、意味ばかり求められる世の中でこういった活動をしたということは、本当に素晴らしいことだと思う。「わけのわからないもの」があってもいい。つくばで、焼酎を飲んで映像を観ながら、あらためて「しらこがえり」の話が出来たらいいなと思った。(中村友貴)

2013年10月17日木曜日

小春丸「花を盛る」教室

デザイン:高橋香緒里

11月3日開催の「黄昏バー」の一企画!
小春丸さんによる「花を盛る」教室のご案内です。

今回の教室は、自由にもりもりと缶のバケツに花を盛って活けていくものです。
お部屋に飾ったり、贈り物に!なんてのも素敵だなあ、と思います。

実際にデモンストレーションで活けていただいたのですが、小春丸さんとの軽やかなお喋りを楽しみつつ、どんどんモリモリと「盛り花」が出来上がっていく時間は、とても楽しいものでした。

自由に花を盛ってみたい方のご予約、お待ちしております!






小春丸「花を盛る」教室

講師:小春丸
会場:千年一日珈琲焙煎所(http://1001coffee.jugem.jp/
時間:11月3日(日) 第一回11:00-13:00/第二回 13:00-15:00
定員:各回4名ずつ
料金:3000円
予約・問い合わせ:1001coffee@gmail.com

※要予約。道具は必要ありません。








2013年9月19日木曜日

ビーチサンダル通信 NO.3 「珈琲」


深夜3時までやっているから飲んだあとに珈琲とシフォンケーキで〆に行く「ブルーライト」で食べたモーニングのシナモントーストがとても美味しかった。

実は初めて行った「ライムライト」では、店主と店員が白いジャケットの制服を着ていて、その上品だけど絶妙な「仕事着」感のあるワークスタイルがカッコよかった。

実家と母校のすぐ近くの「可否館」は民藝の思想を受け継いでいる喫茶店だ。なんでもっと早くから通わなかったのか後悔するほど、珈琲も、飾られた民藝品も、お喋りも、素晴らしかった。

全部、鹿児島のハナシ。